賞与の決め方は会社によってさまざまですが、多くはいくつかの決まったパターンに当てはまります。ここでは「額面(支給額)がどう決まるか」を見ていきます(額面から税・社保が引かれる手取りの話は 賞与の手取り をご覧ください)。
賞与の決め方(4つの基本パターン)
- ①基本給連動型……基本給 × 支給月数。最もシンプル。「夏は1.5か月分」のように決める。
- ②査定(評価)反映型……基本給 × 支給月数 × 評価係数。人事評価のランクで個人差をつける。
- ③業績連動型……会社や部門の業績で賞与原資(総額)を決め、それを社員に配分する。
- ④定額・寸志型……全員一律◯万円、または「寸志」として少額を支給。中小企業や賞与制度が簡素な会社に多い。
どのパターンを採るか、支給月数や評価係数の決め方は、会社の就業規則(賃金規程・賞与規程)で定められます。そもそも賞与に支払義務があるか・支給日在籍要件などは ボーナスは必ずもらえる? をどうぞ。
計算式と具体例
査定を反映する会社の基本式は次のとおりです。
賞与(額面)= 基本給 × 支給月数 × 評価係数
例:基本給25万円の場合
- 支給月数1.5か月・評価係数1.0(標準)……25万円 × 1.5 × 1.0 = 37万5,000円
- 支給月数1.5か月・評価係数1.1(高評価)……25万円 × 1.5 × 1.1 = 41万2,500円
- 支給月数1.5か月・評価係数0.9(低評価)……25万円 × 1.5 × 0.9 = 33万7,500円
「何か月分」の基準額は会社によって「基本給のみ」「基本給+一部の手当」など異なります。残業代は通常含みません。自分の基準額は給与明細や賃金規程で確認しましょう。基本給のしくみは 賃金表(号俸表)の作り方 も参考になります。
「基本給の何か月分」の目安
支給月数(何か月分か)は会社・業績で大きく変わりますが、全国的には年2〜3か月分(夏・冬の合計)あたりが一つの目安です。大企業ほど多く、中小企業や業績によっては少ない・支給なしのこともあります。
業種別・企業規模別の実際の平均額や「何か月分」は、ボーナスの平均はいくら? や 平均賞与を調べるツール で確認できます。
査定(人事評価)はどう反映される?
②査定反映型では、各社員の人事評価のランク(例:S・A・B・C)に応じて評価係数が決まります。標準評価を1.0として、高評価は1.1〜1.3、低評価は0.7〜0.9のように設定するのが一例です。同じ基本給・同じ支給月数でも、評価で手取りに差がつくのはこのためです。
業績連動型のしくみ
③業績連動型では、まず会社や部門の業績(利益など)から賞与の原資(総額)を決めます。次にその原資を、各社員の基本給や評価に応じて配分します。業績が良ければ支給月数が増え、悪ければ減る(または不支給)という変動が大きいのが特徴です。
中途入社・休職・育休の「月割り」
賞与は一定の算定対象期間(例:夏は前年12月〜当年5月)の勤務をもとに計算されるため、その期間の在籍月数や出勤率で按分(月割り)されるのが一般的です。
- 中途入社……算定期間の途中から在籍した分だけ月割りされることが多い。
- 欠勤・休職……労務提供がなかった分が減額されることがある。
- 産休・育休……休んだ日数分の按分は認められるが、取得を「理由」とする不利益減額は禁止。
実務でよくあるつまずき
- 「何か月分」の基準額のズレ。会社は「基本給の1.5か月分」のつもりでも、従業員は「月給総額の1.5か月分」と受け取っていた——という行き違いが典型です。賃金規程・賞与規程に基準額(基本給か、手当を含むか)を明記し、支給明細でも示すとトラブルを防げます。
- 労働条件通知書に確定額を書いてしまう。「賞与:年2回・計3か月分」と確定的に書くと、業績が悪化しても契約上の支払義務が残ります。変動があり得るなら「業績等により支給しないことがある」旨まで記載してください。
- 賞与からの控除の計算誤り。賞与にも社会保険料と所得税がかかります(住民税はかかりません)。所得税率は前月の給与で決まるため、月給と同じ感覚で計算すると誤ります。支給後は賞与支払届の提出(支給日から5日以内)も忘れずに。
計算したら「手取り」もチェック
額面が決まったら、そこから社会保険料・所得税が引かれます(住民税は引かれません)。手元に残る額は、無料ツールで確認できます。
- 🛠 賞与(ボーナス)計算ツール……額面から手取りの目安を計算。
- 📄 賞与(ボーナス)の手取り|引かれるものと計算……引かれるもののしくみ。
例:賞与40万円の手取り(30歳・扶養なし・三重県)
前月の給与(社会保険料控除後)25万円・協会けんぽ(三重県・2026年度)・一般の事業のケースです。
| 賞与額(額面) | 400,000円 |
|---|---|
| 健康保険料(9.77%÷2) | −19,540円 |
| 子ども・子育て支援金(0.23%÷2) | −460円 |
| 厚生年金保険料(18.30%÷2) | −36,600円 |
| 雇用保険料(0.50%) | −2,000円 |
| 所得税(源泉・率4.084%) | −13,942円 |
| 手取り額 | 327,458円(額面の約82%) |
40〜64歳は介護保険料(1.62%)が加わります。健康保険料率は都道府県や健保組合で異なるため、自分の条件では 賞与(ボーナス)計算ツール で計算してください。
根拠・出典
- 賞与など「臨時の賃金等」の定めがある場合の就業規則への記載:労働基準法 第89条第4号。
- 賞与の社会保険料(標準賞与額・年度累計573万円の上限):健康保険法 第45条。
- 賞与の厚生年金保険料(標準賞与額・1か月150万円の上限):厚生年金保険法 第24条の4。
- 賞与の源泉所得税:所得税法 第186条・別表第四「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」。
- 産休・育休を理由とする不利益取扱いの禁止:男女雇用機会均等法 第9条第3項、育児・介護休業法 第10条。
よくある質問
賞与は基本給の何か月分が目安ですか?
「基本給 × 支給月数」で計算されることが多く、支給月数は会社・業績で変わります。全国的には年2〜3か月分(夏・冬合計)が一つの目安ですが、業種・規模で大きく異なります。基準は『月給総額』ではなく『基本給』のことが多く、手当や残業代は含まないのが一般的です。
賞与の計算式(査定・評価の反映)はどうなりますか?
個人差をつける会社では「基本給 × 支給月数 × 評価係数」で計算します。例:基本給25万円・支給1.5か月・評価係数1.1なら、25万円×1.5×1.1=41万2,500円。評価係数はS・A・B・Cなどのランクで決まります。
中途入社や休職・育休でも満額もらえますか?
算定対象期間の在籍・出勤に応じて月割り(按分)されることが多く、期間が短い・欠勤が多い場合は減額され得ます。ただし産休・育休を理由とする不利益減額は禁止されています。
賞与40万円の手取りはいくらですか?
30歳・扶養なし・前月の給与(社会保険料控除後)25万円・協会けんぽ(三重県・2026年度)の場合、社会保険料が58,600円(健康保険19,540円・厚生年金36,600円・子ども子育て支援金460円・雇用保険2,000円)、所得税が13,942円(税率4.084%)で、手取りは327,458円(額面の約82%)です。条件を変えた計算は 賞与(ボーナス)計算ツール で試せます。
賞与から住民税は引かれますか?
引かれません。住民税は前年の所得をもとに計算した年税額を、毎月の給与から12回に分けて天引きするしくみのため、賞与からの控除はありません。賞与から引かれるのは社会保険料と所得税(源泉徴収)です。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。賞与の計算方法・支給月数・評価係数は会社の就業規則(賃金規程・賞与規程)によって異なります。具体的な制度設計や個別のご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。