賞与(ボーナス)にも、毎月の給与と同じように税金や保険料がかかります。ただし引かれるものと計算方法が月給とは少し違います。順番に見ていきましょう。手取りの全体像は 手取りの計算方法 もあわせてご覧ください。
賞与から引かれるものは?(住民税は引かれない)
賞与から差し引かれるのは、次の3つです。
- 社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険〈40〜64歳〉・子ども子育て支援金)
- 雇用保険料
- 所得税(源泉徴収)
住民税は賞与から引かれません。住民税は前年の所得をもとに決まり、毎月の給与から12回に分けて天引きされるためです。これが「賞与は月給より手取りの割合が高く感じる」理由のひとつです。
賞与の社会保険料の計算
賞与の社会保険料は、次の式で計算します。
本人負担 = 標準賞与額 × 料率 ÷ 2(標準賞与額=賞与額から1,000円未満を切り捨てた額)
料率は月給と同じです(くわしくは 社会保険料の計算方法)。2026年度・協会けんぽ三重の料率は次のとおりです。
| 保険(労使合計の料率) | 本人負担(折半) |
|---|---|
| 厚生年金 18.30% | 9.15% |
| 健康保険(三重)9.77% | 4.885% |
| 介護保険 1.62%(40〜64歳) | 0.81% |
| 子ども・子育て支援金 0.23% | 0.115% |
標準賞与額には上限があります。健康保険・介護保険・子ども子育て支援金は年間573万円(毎年4/1〜翌3/31の累計)、厚生年金は1回あたり150万円が上限です。雇用保険料は標準賞与額ではなく賞与額そのもの × 本人負担率(令和8年度・一般0.50%)です。
賞与の所得税はどう決まる?
賞与の所得税(源泉徴収)は、月給とは別の表で計算します。流れはこうです。
- 前月の給与(社会保険料を引いた後の額)と扶養している人数から、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で率を求める
- その率を、賞与から社会保険料を引いた後の金額にかける
率は前月給与が高いほど・扶養が少ないほど高くなります(0%〜)。前月に給与がない場合などは別の計算になります。正確な率は前月の状況で変わるため、概算は下のツールが便利です。
計算例:賞与50万円の場合(三重・2026年度)
標準賞与額50万円・40歳未満の人の社会保険料(本人負担)は次のようになります。
| 項目 | 計算 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 500,000 × 9.77% ÷ 2 | 24,425円 |
| 厚生年金 | 500,000 × 18.30% ÷ 2 | 45,750円 |
| 子ども・子育て支援金 | 500,000 × 0.23% ÷ 2 | 575円 |
| 雇用保険 | 500,000 × 0.50% | 2,500円 |
| 介護保険(40〜64歳のみ) | 500,000 × 1.62% ÷ 2 | 4,050円 |
社会保険料の合計は、40歳未満で73,250円、40〜64歳で77,300円。ここにさらに所得税(前月給与と扶養人数で決まる率)が引かれます。住民税は引かれません。手取りの目安は額面の約8割です。
賞与額別の手取り早見表(30万〜100万円)
所得税まで含めた手取りを、賞与額別に一覧にしました。条件は40歳未満・扶養0人・前月の給与(社会保険料控除後)28万円(所得税率6.126%)・協会けんぽ三重県の2026年度料率で、当サイトの賞与(ボーナス)計算ツールと同じ計算方法です。
| 賞与額(額面) | 健康保険※ | 厚生年金 | 雇用保険 | 所得税 | 手取り |
|---|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 15,000円 | 27,450円 | 1,500円 | 15,685円 | 240,365円(約80%) |
| 50万円 | 25,000円 | 45,750円 | 2,500円 | 26,142円 | 400,608円(約80%) |
| 70万円 | 35,000円 | 64,050円 | 3,500円 | 36,599円 | 560,851円(約80%) |
| 100万円 | 50,000円 | 91,500円 | 5,000円 | 52,285円 | 801,215円(約80%) |
※健康保険の欄は子ども・子育て支援金(0.23%)を含みます。40〜64歳は介護保険料が加わります(賞与50万円なら4,050円で、手取りは396,806円)。所得税率は前月給与と扶養人数で変わるため、あくまで一例です。
実務でよくあるつまずき
- 前月に給与がない人に、いつもの率表を使ってしまう。育休・休職明けの復帰直後などで前月に給与の支払いがない場合、通常の算出率表は使えず、賞与額を6か月分の給与とみなす別の計算になります。いつもどおり率をかけると源泉徴収額を誤るので、給与ソフトの設定と前月給与の有無を確認してください。
- 退職者の賞与から社会保険料を引いてしまう(または引き忘れる)。資格喪失日(退職日の翌日)が属する月に支給した賞与には、社会保険料はかかりません。ただし月末退職だけは資格喪失が翌月になるため、退職月の賞与にも保険料がかかります。退職日によって扱いが逆になる点がミスの定番です。
- 年4回以上の賞与を「賞与」として計算してしまう。年4回以上支給される賞与は、社会保険では賞与ではなく標準報酬月額の対象(報酬)として扱われます。決算賞与などを追加して年4回以上になる年は、扱いが変わらないか確認が必要です。
正確な手取りはツールで
賞与の手取りは、賞与額・前月の給与・扶養人数を入れるだけで、社会保険料と所得税の内訳まで計算できる無料ツールで確認できます。
毎月の給与の手取りは、総支給額を入れるだけで社会保険料・所得税・住民税まで反映して計算できます。社会保険料のしくみは 標準報酬月額とは、内訳だけ知りたいときは 社会保険料 計算ツール もどうぞ。
根拠・出典
- 標準賞与額(1,000円未満切り捨て)と年間573万円の上限:健康保険法 第45条。
- 標準賞与額の1回150万円の上限:厚生年金保険法 第24条の4。
- 保険料率:厚生年金保険法 第81条(18.3%)、全国健康保険協会「令和8年度 都道府県単位保険料率」。
- 賞与の源泉所得税:所得税法 第186条、国税庁「令和8年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」。
- 雇用保険料率:労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第12条、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率」。
よくある質問
賞与(ボーナス)から住民税は引かれますか?
引かれません。住民税は前年の所得をもとに決まり、毎月の給与から12回に分けて天引きされるため、賞与には課されません。賞与から引かれるのは社会保険料・雇用保険料・所得税の3つです。
賞与の社会保険料はどう計算しますか?
賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、月給と同じ料率をかけ、会社と本人で折半した額が本人負担です。標準賞与額には上限があります(健康保険・介護・子ども子育て支援金は年間573万円、厚生年金は1回150万円)。
賞与の手取りは額面のどれくらいですか?
社会保険料と所得税で2割前後が引かれ、手取りは額面の約8割が目安です。賞与は住民税が引かれないぶん、月給より手取りの割合が少し高くなることもあります。
賞与の所得税率はどうやって決まりますか?
前月の給与(社会保険料を引いた後の額)と扶養人数をもとに、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で決まります。前月の給与が高いほど・扶養が少ないほど率は上がります。賞与の額そのものでは決まりません。
退職する月に支給された賞与からも社会保険料は引かれますか?
原則引かれません。資格喪失日(退職日の翌日)が属する月に支給された賞与には社会保険料がかからないためです。ただし月末退職は資格喪失が翌月になるため、その月の賞与にも保険料がかかります。雇用保険料と所得税はどの場合も引かれます。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 大幅加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。社会保険料率・税制は改定されることがあります。具体的なご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。