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賞与支払届の書き方|提出期限(5日以内)・対象・不支給のときの手続き

従業員にボーナスを支給したら、会社は「被保険者賞与支払届」を出す必要があります。提出期限(支給日から5日以内)・提出先・対象になる賞与・標準賞与額の上限・支給しなかったときの手続きまで、社労士が実務目線で整理しました。

夏・冬の賞与を支給したあと、会社の担当者がやるべき社会保険の手続きが賞与支払届です。提出が遅れると保険料の徴収や将来の年金額にも関わるため、期限と中身を押さえておきましょう。

賞与支払届とは

正式には「被保険者賞与支払届」といい、従業員に賞与を支払ったことを事業主が日本年金機構(年金事務所)へ届け出る書類です。この届出で標準賞与額が決まり、賞与にかかる健康保険料・厚生年金保険料の計算の基礎になります。賞与から引かれる保険料の本人負担分については 賞与(ボーナス)の手取り をどうぞ。

提出期限・提出先・提出方法

  • 提出期限……賞与を支給した日から5日以内
  • 提出先……管轄の年金事務所(事務センター)健康保険組合に加入している会社は、組合にも提出します。
  • 提出方法……電子申請(e-Gov)・電子媒体(CD等)・郵送・窓口持参のいずれか。給与計算ソフトから電子申請まで行うのが効率的です。

賞与支払予定月を年金機構に登録している会社には、支給月の前に対象者が印字された届出用紙が事前に送られてきます。

対象になる賞与・ならない賞与

  • 対象……厚生年金・健康保険の被保険者および70歳以上被用者に支払った、年3回以下支給の賞与(名称は問わず、労働の対償として支払うもの)。
  • 対象外……年4回以上支給されるものは「報酬」として標準報酬月額に組み込まれるため、賞与支払届の対象外です。結婚祝金など労働の対償でないものも対象外。

標準報酬月額のしくみは 標準報酬月額とは、社会保険料全体の計算は 社会保険料の計算方法 をご覧ください。

標準賞与額と上限

標準賞与額は、賞与の総額から1,000円未満を切り捨てた額です。これに月給と同じ保険料率をかけ、会社と本人で折半します。標準賞与額には上限があります。

  • 健康保険(+介護保険・子ども子育て拠出金)……年度(4月〜翌年3月)の累計で573万円
  • 厚生年金保険……1か月あたり150万円(同じ月に2回以上支給したときは合算して判定)。

計算例:賞与40万8,500円の保険料はいくら?

30歳(介護保険の対象外)・協会けんぽ(三重県・2026年度)の例です。まず1,000円未満を切り捨て、標準賞与額は408,000円になります。

賞与額408,500円
標準賞与額(1,000円未満切捨て)408,000円
健康保険料(本人・9.77%÷2)19,931円
子ども・子育て支援金(本人・0.23%÷2)469円
厚生年金保険料(本人・18.30%÷2)37,332円
本人負担合計57,732円

会社もほぼ同額を負担します(労使折半。端数は50銭以下切捨て・50銭超切上げ)。雇用保険料・所得税まで含めた本人の手取りは 賞与(ボーナス)計算ツール で、支給額の相場は 平均賞与を調べるツール で確認できます。

書き方のポイント

  • 賞与支払年月日……実際に支給した日を記入。
  • 賞与額……「通貨」で支払った額と「現物」で支払った額を分けて記入し、合計する。
  • 賞与額(千円未満切り捨て)……合計から1,000円未満を切り捨てた額が標準賞与額。
  • 対象者全員(賞与を支給した被保険者・70歳以上被用者)を記載する。

賞与を支給しなかったとき(賞与不支給報告書)

賞与支払予定月として登録している月に、被保険者・70歳以上被用者の全員に賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」を提出します。令和3年4月の提出分から、従来の「被保険者賞与支払届総括表」は廃止され、この取扱いに変わりました。

出し忘れ・期限に遅れたら

5日を過ぎても、気づいた時点でできるだけ早く提出します。届出が遅れると、賞与にかかる社会保険料の徴収のタイミングや、被保険者の将来の年金額の記録に影響することがあります。間違って提出したときは訂正の届出で修正できます。

退職者・休職者・育休中の賞与は?

  • 退職者……退職日との関係で被保険者資格が切れている場合、賞与にかかる保険料の扱いが変わります(資格喪失月の賞与は保険料がかからないことも)。
  • 育児休業中の賞与……一定の要件を満たす育休中は賞与の社会保険料が免除されることがありますが、賞与支払届の提出自体は必要です(標準賞与額は年度上限の計算に算入されます)。

退職時に会社がやる手続き全体は 退職手続きで会社がやること一覧 も参考にしてください。

実務でよくあるつまずき

  • 決算賞与・臨時の賞与の提出漏れ。夏・冬の予定月には対象者が印字された用紙が届きますが、予定月以外の支給(決算賞与・臨時ボーナスなど)は自分で気づいて提出するしかありません。年3回以下の支給なら、名称を問わず賞与支払届の対象です。
  • 退職者の扱いの誤り。資格喪失月に支給した賞与は保険料がかからないのに月給と同じ感覚で控除してしまう。逆に、退職日までに支払った賞与は保険料がかからなくても届出は必要(年度累計573万円に算入されるため)なのに出し忘れる。この両方が起きやすいポイントです。
  • 標準賞与額の上限処理の漏れ。厚生年金は1か月150万円で頭打ち(同月2回支給は合算)、健康保険は年度累計573万円が上限です。高額賞与や年2回目以降の支給で上限を超えているのに、満額に料率をかけて保険料を計算してしまう誤りに注意してください。

根拠・出典

  • 賞与支払届の提出(支給日から5日以内):健康保険法施行規則 第27条、厚生年金保険法施行規則 第19条の5。
  • 標準賞与額と上限(健康保険=年度累計573万円):健康保険法 第45条。
  • 標準賞与額と上限(厚生年金=1か月150万円):厚生年金保険法 第24条の4。
  • 育児休業中の保険料免除:健康保険法 第159条、厚生年金保険法 第81条の2。
  • 様式・記入方法・賞与不支給報告書の取扱い:日本年金機構「賞与を支給したとき(賞与支払届)」。

よくある質問

賞与支払届はいつまでに提出しますか?提出先はどこですか?

賞与を支給した日から5日以内に、事業主が管轄の年金事務所(事務センター)へ提出します。健康保険組合に加入している場合は組合にも提出。電子申請(e-Gov)・電子媒体・郵送・窓口で提出できます。

賞与支払届の対象になる賞与は?標準賞与額の上限は?

被保険者・70歳以上被用者に支払った年3回以下支給の賞与が対象です(年4回以上は報酬扱いで対象外)。標準賞与額は1,000円未満切り捨てで、上限は健保=年度累計573万円厚年=1か月150万円です。

賞与を支給しなかったときも届出は必要ですか?

賞与支払予定月に全員へ支給しなかったときは「賞与不支給報告書」を提出します。令和3年4月から、従来の「賞与支払届総括表」は廃止されました。

賞与支払届の提出を忘れていた場合はどうすればいいですか?

気づいた時点でできるだけ早く提出してください。期限(支給日から5日以内)を過ぎても受け付けてもらえます。放置すると賞与分の保険料が徴収されないままになり、従業員の将来の年金額の記録にも反映されません。あとから提出した場合は保険料がさかのぼって徴収されるため、資金繰りにも注意が必要です。

退職した月に支給した賞与も賞与支払届は必要ですか?

必要な場合があります。資格喪失月に支給した賞与は原則として保険料はかかりませんが、退職日(資格喪失日の前日)までに支払った賞与は標準賞与額として決定され、健康保険の年度累計573万円の対象になるため、賞与支払届の提出が必要です。保険料がかからない=届出も不要、ではない点に注意してください。

本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。届出の様式・取扱いは改定されることがあります。最新の様式・記入方法は日本年金機構の案内をご確認ください。賞与計算・社会保険手続きのご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。