給与明細で引かれる「社会保険料」は、大きく ① 健康保険・厚生年金・介護保険(広い意味の社会保険)と ② 雇用保険 に分かれ、計算のしかたが異なります。順番に見ていきましょう。
社会保険料はどうやって計算する?(基本の式)
健康保険・厚生年金・介護保険の本人負担額は、次の式で計算します。
本人負担 = 標準報酬月額 × 料率 ÷ 2(会社と本人で半分ずつ負担=労使折半)
「標準報酬月額」は、実際の給与を等級表にあてはめた金額です(くわしくは 標準報酬月額とは)。端数は、被保険者負担分の50銭以下を切り捨て、50銭超を切り上げて1円単位にします。
健康保険・厚生年金・介護保険の料率は?(2026年度)
| 保険 | 料率(労使合計) | 本人負担(折半) |
|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 18.30%(全国一律) | 9.15% |
| 健康保険(協会けんぽ三重) | 9.77% | 4.885% |
| 介護保険(40〜64歳) | 1.62% | 0.81% |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 0.115% |
健康保険料率は都道府県・年度で変わります(協会けんぽの場合)。健康保険組合に加入している会社は、その組合の料率になります。厚生年金は全国一律・固定です。
計算例:標準報酬月額30万円の場合
三重県・協会けんぽ・2026年度の料率で、標準報酬月額30万円の人の本人負担を計算すると、次のようになります。
| 項目 | 計算 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 300,000 × 9.77% ÷ 2 | 14,655円 |
| 厚生年金 | 300,000 × 18.30% ÷ 2 | 27,450円 |
| 子ども・子育て支援金 | 300,000 × 0.23% ÷ 2 | 345円 |
| 雇用保険 | 300,000 × 0.50% | 1,500円 |
| 介護保険(40〜64歳のみ) | 300,000 × 1.62% ÷ 2 | 2,430円 |
合計の本人負担は、40歳未満で約43,950円、40〜64歳で約46,380円です。
標準報酬月額別の早見表(本人負担額)
同じ計算を他の等級でも行った早見表です。協会けんぽ三重県・2026年度料率で、当サイトの社会保険料 計算ツールと同じ計算方法(端数は50銭以下切り捨て・50銭超切り上げ)です。健康保険の欄には子ども・子育て支援金(0.23%)を含めています。
| 標準報酬月額 | 健康保険+支援金 | 厚生年金 | 合計(40歳未満) | 介護保険 | 合計(40〜64歳) |
|---|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 10,000円 | 18,300円 | 28,300円 | 1,620円 | 29,920円 |
| 26万円 | 13,000円 | 23,790円 | 36,790円 | 2,106円 | 38,896円 |
| 30万円 | 15,000円 | 27,450円 | 42,450円 | 2,430円 | 44,880円 |
| 41万円 | 20,499円 | 37,515円 | 58,014円 | 3,321円 | 61,335円 |
| 50万円 | 25,000円 | 45,750円 | 70,750円 | 4,050円 | 74,800円 |
このほかに雇用保険料(賃金総額×0.50%)が引かれます。目安として、本人負担の合計はおおむね標準報酬月額の14〜15%です。
雇用保険料の計算は少し違う
雇用保険料は、社会保険(健保・厚年・介護)とは計算のしかたが違います。
- もとにするのは標準報酬月額ではなく、その月の賃金総額(通勤手当なども含む)
- 本人負担率は令和8年度・一般の事業で0.50%(建設・農林水産は0.60%)
- 労使折半ではなく、事業主の負担割合の方が大きい
賞与(ボーナス)の社会保険料は?
賞与にも社会保険料がかかります。賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、月給と同じ料率をかけて計算します(健康保険・厚生年金など)。標準賞与額には上限があり、健康保険・介護保険は年間573万円(毎年4月1日〜翌3月31日の累計)、厚生年金は1回あたり150万円です。くわしくは 賞与(ボーナス)の手取り、金額の試算は 賞与(ボーナス)計算ツール をどうぞ。
実務でよくあるつまずき
- 「基本給だけ」で標準報酬月額を届け出てしまう。標準報酬月額のもとになる報酬には、基本給のほか通勤手当・残業代・役職手当など労働の対償として受けるものが広く含まれます。基本給だけで届け出ると保険料が過少になり、あとから遡って訂正・追徴になることがあります。手当込みの総額で算定してください。
- 介護保険料の開始月を間違える。介護保険料の対象になるのは「40歳に達した日=誕生日の前日」が属する月分からです。たとえば5月1日生まれの人は4月分から対象になります。誕生月から引き始めると1か月ずれることがあるので、給与計算ソフトの生年月日設定を確認しましょう。
- 入社月・退職月の日割り計算をしてしまう。社会保険料に日割りはなく、月単位でかかります。月の途中入社でもその月は1か月分かかり、退職では「資格喪失日(退職日の翌日)が属する月」の前月分までかかります。月末退職だけは退職月の分までかかる点に注意です。
社会保険料・手取りを計算ツールで
社会保険料の本人負担額だけを内訳つきで知りたいときは 社会保険料 計算ツール(健保率は都道府県別に変更可)、社会保険料に加えて所得税・住民税まで引いた手取りを知りたいときは 手取り計算ツール が便利です(どちらも無料・登録不要)。
根拠・出典
- 健康保険の標準報酬月額・標準賞与額・保険料:健康保険法 第40条・第45条・第156条。
- 都道府県単位保険料率・介護保険料率:全国健康保険協会「令和8年度 都道府県単位保険料率」。
- 厚生年金の標準報酬月額・標準賞与額・保険料率(18.3%):厚生年金保険法 第20条・第24条の4・第81条。
- 介護保険の第2号被保険者(40〜64歳):介護保険法 第9条。
- 雇用保険料率:労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第12条、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率」。
よくある質問
社会保険料はどうやって計算しますか?
健康保険・厚生年金・介護保険は、標準報酬月額に料率をかけ、会社と本人で折半(÷2)した額が本人負担です。それぞれ計算して合計します。
厚生年金の保険料率は何パーセントですか?
厚生年金保険料率は全国一律で18.30%です。会社と折半するため、本人の負担は半分の9.15%になります。
雇用保険料の計算は社会保険と同じですか?
違います。雇用保険は標準報酬月額ではなく、その月の賃金総額に本人負担率(令和8年度の一般の事業は0.50%)をかけて計算します。労使折半でもなく、事業主の負担割合の方が大きくなっています。
社会保険料は毎月変わりますか?
原則変わりません。標準報酬月額は年1回の定時決定(4〜6月の給与の平均をもとに9月分から改定)で見直され、1年間は同じ額が続きます。昇給などで給与が大きく変わったときは、途中でも随時改定で変わることがあります。
介護保険料はいつからいつまで給与から引かれますか?
40歳の誕生日の前日が属する月分から64歳までです(第2号被保険者)。65歳以降は給与天引きではなく、市区町村に納める方式に変わります。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 大幅加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。社会保険料率は毎年改定されることがあります(最新の料率は協会けんぽ等でご確認ください)。具体的なご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。