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パート・アルバイトの労働条件通知書|注意すべき記載事項

パート・アルバイトを雇うときは、正社員にはない「追加の明示事項」が必要です。見落としやすいポイントを整理します。

パートやアルバイトであっても、労働条件を書面で明示する義務は正社員とまったく同じです(労働基準法第15条)。「短時間だから」「学生だから」といって口約束で済ませると、シフト・時給・有給などの認識違いからトラブルになりがちです。さらにパート・アルバイトには、パートタイム・有期雇用労働法によって、正社員には求められない4つの追加項目の明示が義務づけられています。

「パート」と「アルバイト」は法律上同じ扱い

そもそも、パートとアルバイトを区別する法律はありません。正社員より週の労働時間が短ければ、どちらも法律上は「短時間労働者」で、パートタイム・有期雇用労働法が同じように適用されます(同法第2条)。「主婦の方はパート、学生はアルバイト」という呼び分けは会社の慣習にすぎず、呼び方を理由に待遇を変えることはできません。

待遇や保険の適用は、呼び方ではなく労働時間・日数・賃金といった働き方で決まります。主な項目を表で確認すると、次のとおりすべて共通です。

項目パートアルバイト
労働条件の書面明示必要(労働基準法第15条。正社員と同じ)
特定事項4つの明示必要(パートタイム・有期雇用労働法第6条)
年次有給休暇週の労働日数に応じて付与(比例付与)
社会保険(健康保険・厚生年金)週20時間以上など要件を満たせば加入
雇用保険週20時間以上+31日以上の雇用見込みで加入
最低賃金・労災保険適用(学生アルバイトも対象)

つまり本記事で解説する明示事項は、パートと呼ぼうがアルバイトと呼ぼうが、同じように必要です。

パート・アルバイトに必要な「特定事項」4つ

通常の労働条件(賃金・労働時間・休日など)に加えて、次の4項目を文書で明示しなければなりません。これを怠ると、1件につき10万円以下の過料の対象になります。

  • 昇給の有無
  • 賞与(ボーナス)の有無
  • 退職手当(退職金)の有無
  • 相談窓口(雇用管理の改善等に関する事項の相談担当者)

「有無」を示せばよいので、支給しない場合は「昇給なし」「賞与なし」と書けば足ります。相談窓口は、担当者の氏名・役職や部署名(例:「店長 ○○」)を記載します。

見落としやすいポイント

① シフト制でも「労働時間」は具体的に

シフト制の場合でも、始業・終業の時刻や、考えられる勤務時間帯・1週間の日数の目安などを、できるだけ具体的に示します。「シフトによる」とだけ書くのは避けましょう。

② 有給休暇は正社員と同じく付与される

週の労働日数が少ないパート・アルバイトにも、日数に応じた年次有給休暇(比例付与)が発生します。「アルバイトに有休はない」というのは誤りです。勤続6か月時点の付与日数は、週4日勤務で7日、週3日で5日、週2日で3日、週1日でも1日です。具体的な日数は 有給休暇の付与日数ツール で確認できます。

③ 同一労働同一賃金にも配慮を

同じ仕事をしている正社員との間で、待遇に不合理な差を設けることは禁止されています(均衡・均等待遇)。手当や福利厚生の扱いに差をつける場合は、その理由を説明できるようにしておきます。

社会保険・雇用保険はどこから入る?(2026年10月に改正あり)

アルバイトでも、週20時間以上働き、月額賃金88,000円以上・2か月超の雇用見込みなどの要件を満たせば、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します(従業員51人以上の企業の場合。昼間学生は除く)。このうち月額88,000円の賃金要件——いわゆる「106万円の壁」——は、2025年に成立した年金制度改正法により2026年10月に撤廃される予定です。撤廃後は、賃金額にかかわらず週20時間以上などの要件で加入が判定されます。

加入した場合の保険料は 社会保険料 計算ツール で、扶養内で働く場合の手取りへの影響は 年収の壁シミュレーター で試算できます。加入条件の詳しい判定は パート・アルバイトの社会保険の加入条件 にまとめています。

実務でよくあるつまずき

  • 呼び方で待遇を分ける。「パートには賞与を出すが、アルバイトには出さない」といった、呼び方だけを理由にした差は説明がつきません。待遇に差をつけるなら、職務内容や責任の重さの違いで説明できるようにしてください。
  • 学生アルバイトに有給を付与していない。週2日勤務でも勤続6か月で3日の有給が発生します。本人から請求されて初めて気づくと、過去にさかのぼった対応や労基署への相談につながりがちです。
  • 相談窓口を空欄や「なし」のまま渡す。特定事項のうち昇給・賞与・退職手当は「なし」でよいのですが、相談窓口は担当を決めて書く必要があります。店長や総務担当など、実際に相談を受けられる人の氏名・役職を記載してください。

有期契約(期間の定めあり)の場合はさらに注意

アルバイトを「3か月ごと更新」などの有期契約で雇う場合は、更新の有無・判断基準・更新上限の明示も必要です。通算5年を超えると無期転換の対象になる点もあわせて確認しましょう。詳しくは 有期契約と無期転換ルール をご覧ください。

パート用のひな形から作ってみる

当事務所の無料ツールには、短時間契約社員(パート)向けのひな形も用意しています。特定事項4つもあらかじめ項目に含まれているので、抜け漏れを防げます。入力した内容は外部に送信されず、お使いの端末内だけで処理されます。

無料の作成ツールを使う

根拠・出典

  • 労働条件の書面明示:労働基準法 第15条、労働基準法施行規則 第5条。
  • 「短時間労働者」の定義、特定事項(昇給・賞与・退職手当の有無、相談窓口)の文書明示:パートタイム・有期雇用労働法 第2条・第6条第1項(違反は10万円以下の過料)。
  • 均衡待遇・均等待遇(同一労働同一賃金):パートタイム・有期雇用労働法 第8条・第9条。
  • 年次有給休暇の比例付与:労働基準法 第39条。
  • 短時間労働者の社会保険の適用、賃金要件の撤廃(2026年10月予定):健康保険法 第3条、厚生年金保険法 第12条、年金制度改正法(2025年成立)。

よくある質問

パート・アルバイトの労働条件通知書で正社員より多く明示すべき項目は何ですか?

パートタイム・有期雇用労働法により、昇給の有無・賞与の有無・退職手当の有無・相談窓口の4つの特定事項を、通常の労働条件に加えて文書で明示する必要があります。

パート・アルバイトの明示事項を怠るとどうなりますか?

特定事項4つの明示を怠ると、1件につき10万円以下の過料の対象になります。支給しない場合は「昇給なし」「賞与なし」と書けば足ります。

アルバイトに有給休暇はありますか?

あります。週の労働日数が少ないパート・アルバイトにも、日数に応じた年次有給休暇(比例付与)が発生します。「アルバイトに有休はない」というのは誤りです。

パートとアルバイトで法律上の違いはありますか?

ありません。どちらも法律上は「短時間労働者(パートタイム労働者)」として同じ扱いです。有給休暇・社会保険・雇用保険の適用は、呼び方ではなく労働時間や日数などの働き方で決まります。

アルバイトも社会保険に入る必要がありますか?

要件を満たせば加入が必要です。週20時間以上・月額賃金88,000円以上・2か月超の雇用見込みなどが基準です(昼間学生は除く)。なお月額88,000円の賃金要件は、2025年成立の年金制度改正法により2026年10月に撤廃される予定です。

本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 大幅加筆)一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令は改正されることがあります。具体的なご対応は、酌井社労士事務所までお気軽にご相談ください。