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社会保険の加入条件|パート・アルバイトはどこから入る?【週20時間・106万円】

「うちのパートさんは社会保険に入れる?」「週何時間から加入?」——パート・アルバイトの社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件を、判定の順番に沿ってやさしく整理しました。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入は、まず 「フルタイムの4分の3以上 働いているか」 で判定し、満たさない場合に 「短時間労働者の5要件」 で判定します。順番に見ていきましょう。

① まず「4分の3基準」で判定

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、どちらも 同じ事業所の正社員(フルタイム)の4分の3以上 なら、原則として社会保険に加入します。たとえば正社員が週40時間なら、週30時間以上が目安です。

② 4分の3未満でも「短時間労働者の5要件」で加入

4分の3に満たない人でも、次の 5つの要件をすべて満たすと社会保険に加入します。

要件内容
労働時間週の所定労働時間が 20時間以上
賃金月額賃金が 88,000円以上(年収換算で約106万円。いわゆる「106万円の壁」)※2026年10月に撤廃予定(下記参照)
雇用見込み継続して 2か月を超えて 雇用される見込み
学生でない学生は対象外(夜間・通信制などは除く)
企業規模勤務先が 特定適用事業所(下記参照)

月額88,000円の判定には、残業代・賞与・通勤手当・精皆勤手当などは含めません(基本給と決まって支給される手当で見ます)。

【2026年10月】月額88,000円の賃金要件は撤廃予定

2025年6月に成立した年金制度改正法により、5要件のうち賃金要件(月額88,000円以上)は2026年10月に撤廃される予定です。いわゆる「106万円の壁」がなくなり、撤廃後は月額賃金がいくらであっても、週20時間以上・2か月超の雇用見込みなど残りの要件で加入が判定されます。

たとえば時給1,000円で週20時間働く人の月収は約8.6万円なので、現在は加入対象になりません。2026年10月以降は、この人も勤務先が特定適用事業所であれば加入対象になります。「月8.8万円未満に抑える」という働き方の調整は、2026年10月以降は意味を持たなくなります。今のうちに、対象になりそうなパート・アルバイトの人数と保険料負担を見積もっておくのがおすすめです。

企業規模の要件(51人以上)と今後の改正

短時間労働者の社会保険適用は、これまで企業規模で線引きされてきました。2024年10月からは 従業員51人以上 の企業(特定適用事業所)が対象です。この企業規模要件も、2025年成立の年金制度改正法で2027年10月から段階的に縮小されます。予定では2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上と広がり、2035年10月にはすべての企業が対象になります。

従業員数は、厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)を法人単位で数えます。パートを含めた在籍人数ではありません。なお50人以下の企業でも、労使合意による任意の適用や、4分の3基準を満たす人の加入は従来どおり必要です。

「106万円の壁」と「130万円の壁」の違い

よく混同されますが、性質が違います。

  • 106万円の壁 … 本人が 勤務先で社会保険に加入する基準(上記の月88,000円)
  • 130万円の壁 … 家族の 健康保険の扶養から外れる基準

詳しくは 年収の壁(106万・130万)の違い130万円の壁とは もあわせてご覧ください。

月収別の保険料の目安(本人負担分)

社会保険に加入すると、保険料は会社と本人が半分ずつ負担します。本人負担分の目安は給与の約14〜15%です。月収別の概算は次のとおりです(40歳未満・協会けんぽ三重県・令和8年度料率で計算)。

月収健康保険料厚生年金保険料本人負担の合計(月)
88,000円約4,300円約8,100円約12,400円
110,000円約5,400円約10,100円約15,400円
150,000円約7,300円約13,700円約21,100円

料率は都道府県と年度で変わります。40〜64歳は介護保険料(給与の約0.8%)、雇用保険の対象なら雇用保険料(給与の0.5%程度)が別途かかります。

正確な金額は 社会保険料 計算ツール で、扶養内で働く場合に「いくらまで働くと世帯の手取りが増えるか」は 年収の壁シミュレーター で試算できます。負担だけに目が行きがちですが、加入すると将来の厚生年金が上乗せされ、病気で休んだときの傷病手当金や出産手当金も受けられるようになります。

実務でよくあるつまずき

  • 契約は週18時間なのに、実態は毎週20時間超。加入判定は契約書の時間だけでなく実際の働き方でも見られます。実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、今後も続く見込みなら3か月目から加入させる取り扱いが示されています。放置してさかのぼり加入となれば、過去分の保険料をまとめて納めることになります。
  • 「学生だから」と一律に除外する。学生除外には例外があり、夜間・通信制・定時制の学生や休学中の人は加入対象です。学生証だけで判断せず、在学の形態まで確認してください。
  • 従業員51人を「全員の頭数」で数える。カウントするのは厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)で、法人単位で見ます。「パートを含めると60人だが被保険者は45人」なら該当しない一方、支店ごとに50人以下でも法人全体で超えれば該当します。

加入するか迷ったらツールで判定

個別の働き方で加入の要否を判定したいときは、Yes/No形式で進められる 入社手続きガイド が便利です。社会保険・雇用保険の加入と、必要な届出を出し分けます。扶養に入れるかどうかは 扶養判定ツール でも確認できます。

入社手続きガイドで判定する 扶養判定ツール

根拠・出典

  • 短時間労働者の社会保険の適用要件(週20時間・月額88,000円・学生除外など)と4分の3基準:健康保険法 第3条第1項第9号、厚生年金保険法 第12条第5号。
  • 賃金要件の撤廃(2026年10月予定)・企業規模要件の段階的縮小(2027年10月〜):年金制度改正法(2025年成立)。
  • 特定適用事業所(従業員51人以上)の取り扱い:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」。
  • 雇用保険の加入条件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み):雇用保険法 第6条。

よくある質問

雇用保険の加入条件も同じですか?

別の基準です。雇用保険は「週20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込み」で加入します(賃金や企業規模の要件はありません)。なお雇用保険は、2028年10月予定の改正で「週10時間以上」へ対象が広がる見込みです。入社時の整理は 入社手続きの必要書類 も参考にしてください。

本人が「加入したくない」と言えば入れなくてよいですか?

いいえ。加入要件を満たせば、本人や会社の意思にかかわらず加入が必要です(強制適用)。要件を満たすのに加入させないことはできません。

106万円の壁(月額88,000円の賃金要件)はいつなくなりますか?

2025年に成立した年金制度改正法により、2026年10月に撤廃される予定です。撤廃後は月額賃金にかかわらず、週20時間以上・2か月超の雇用見込みなど残りの要件で加入を判定します。

社会保険に加入すると手取りはどのくらい減りますか?

本人負担分の目安は給与の約14〜15%です。月収88,000円なら月12,000円前後、月収110,000円なら月15,000円前後が概算です。そのぶん将来の厚生年金が増え、傷病手当金・出産手当金などの保障も受けられます。

従業員51人以上はどのように数えますか?

厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)を法人単位で数えます。パートを含めた在籍人数ではありません。直近12か月のうち6か月以上で50人を超えると、特定適用事業所に該当します。

本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 大幅加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。具体的なご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。