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退職金はいくら?相場・計算方法と税金(退職所得控除)【2026年版】

「退職金っていくらもらえる?」「税金は引かれる?」。退職金は会社の制度しだいで金額が決まり、税金は大きく優遇されています。相場の見方、計算のしくみ、退職所得控除と税金まで、社労士が整理しました。

退職金は、長く働いた区切りに受け取るまとまったお金。ただし「いくらもらえるか」は会社によってまったく違い、税金のルールも給与とは別建てです。順番に見ていきましょう。

退職金の相場はいくら?

まず大前提として、退職金の支払いは法律上の義務ではありません。支払うかどうか・いくら支払うかは、会社の退職金規程(就業規則)で定められます。そのため「全国一律の相場」はなく、次の要素で大きく変わります。

  • 会社の規模……一般に大企業ほど高く、中小企業は低めの傾向。退職金制度自体がない会社もあります。
  • 勤続年数……長く勤めるほど高くなるのが一般的。
  • 退職理由……定年・会社都合は高め、自己都合は低めに設定されている会社が多い(自己都合は支給率が下がる)。
  • 学歴・役職……モデル退職金は学歴・職位別に示されることが多いです。

「自分はいくら?」を知る一番の近道は、勤務先の退職金規程・就業規則を確認することです。就業規則の見方は 就業規則の作成・届出義務 もどうぞ。退職の手続き全体は 退職手続きガイド をご覧ください。

退職金の計算のしくみ

金額は会社の規程によりますが、よくある決め方は次のとおりです。

  • 基本給連動型……「退職時の基本給 × 勤続年数別の支給率 × 退職事由係数」など。
  • 定額(ポイント)制……等級・勤続などをポイント化し、「ポイント合計 × ポイント単価」で計算。
  • 中退共・確定拠出年金(企業型DC)など……外部の制度に会社が掛金を積み立てるタイプ。

どの方式かは会社により異なります。退職を考えはじめたら、規程の「支給率表」と「自己都合の減額」を確認しておくと安心です。退職を申し出る書類は 退職届・退職願 作成ツール で作れます。

退職金にかかる税金(退職所得控除)

退職金(退職所得)は、給与や賞与とは別に計算され、税負担が大きく軽くなるしくみです。流れは次のとおりです。

課税退職所得 = (退職金 − 退職所得控除額)× 1/2
この課税退職所得に、所得税・住民税がかかります(他の所得と分けて計算=分離課税)。

退職所得控除額の計算

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数は1年未満を切り上げます(例:30年1か月→31年)。

計算の例(勤続30年・退職金1,500万円)

  • 退職所得控除=800万円+70万円×(30−20)=1,500万円
  • 退職金1,500万円 − 控除1,500万円 = 0円 → 課税対象なし(税金0円)

このように、勤続が長いと退職所得控除も大きくなり、退職金の多くが非課税になるケースが少なくありません。控除を超えた分も、さらに2分の1にしてから課税されるため、給与に比べて税負担はかなり軽くなります。

退職金の総額と勤続年数を入れるだけで、退職所得控除・所得税・住民税・手取り額をその場で計算できる無料ツールを用意しています。

退職金の手取り計算ツールを使う(無料)

会社側で退職金制度をこれから作る・見直す場合は、退職金表 作成ツール(基本給連動型・定額制・ポイント制対応)で支給額表を無料で作成できます。

損をしないための手続き

退職金を受け取る前に、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出してください。

  • 提出した場合……退職所得控除を反映した正しい金額で源泉徴収され、原則確定申告は不要です。
  • 提出しなかった場合……退職金の総額に一律20.42%が源泉徴収されます。払いすぎた分は自分で確定申告して取り戻すことになります。

※退職金の税金の詳細・個別の試算は、税理士または所轄の税務署にご確認ください(税務は社会保険労務士の業務範囲外です)。退職後の毎月の手取りは 手取り計算ツール、失業給付は 失業保険 計算ツール で確認できます。

実務でよくあるつまずき

  • 支給条件を確認せずに「もらえるはず」と見込む。退職金規程には「勤続3年以上の者に支給する」といった最低勤続年数の条件を置く会社が多くあります。勤続が浅い場合は、まず規程の支給条件から確認してください。
  • 自己都合の減額を見落とす。同じ勤続年数でも、自己都合退職は定年・会社都合より支給率が低く設定されているのが一般的です。モデル退職金や定年時の金額をそのまま自分に当てはめると、見込みと実際が大きくずれます。
  • 勤続年数の端数を切り捨てて控除を少なく見積もる。退職所得控除の勤続年数は1年未満を切り上げます。勤続10年3か月なら「10年」ではなく「11年」で計算するため、控除は40万円×11年=440万円です。

根拠・出典

  • 退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲・支払の条件・計算方法・支払時期を就業規則に記載:労働基準法 第89条。
  • 退職手当(退職金)の保全措置など:賃金の支払の確保等に関する法律。
  • 退職所得・退職所得控除(勤続20年以下=40万円×勤続年数〈最低80万円〉、20年超=800万円+70万円×(勤続年数−20年)、課税対象は控除後の2分の1):所得税法 第30条。
  • 退職所得控除の計算方法:国税庁「退職金と税」(タックスアンサー No.1420)。

よくある質問

退職金はいくらもらえますか?相場はありますか?

退職金の金額は会社の退職金規程で決まり、法律上の支払義務はありません。相場は会社規模・勤続年数・退職理由で大きく変わり、大企業・長い勤続・定年退職ほど高く、中小企業や自己都合は低め、制度がない会社もあります。まず自社の規程を確認しましょう。

退職金にも税金はかかりますか?

かかりますが大きく優遇されます。退職所得控除を差し引き、残りをさらに2分の1にした額だけが課税対象です。控除は勤続20年以下で40万円×年数(最低80万円)、20年超で800万円+70万円×(年数−20)です。

退職金の税金で損をしないために必要な手続きはありますか?

「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することが大切です。提出すれば正しい源泉徴収で完結し確定申告も原則不要ですが、出さないと総額に一律20.42%が源泉徴収され、払いすぎた分は自分で確定申告が必要になります。

勤続年数に端数があるとき、退職所得控除はどう数えますか?

勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。たとえば勤続10年3か月なら11年として計算し、退職所得控除は40万円×11年=440万円です。端数を切り捨てて計算すると控除を少なく見積もることになるので注意してください。

退職金制度がない会社は違法ですか?

違法ではありません。退職金の支払いは法律上の義務ではなく、制度を設けるかどうかは会社の自由です。ただし、退職金制度を設ける場合は就業規則に支給条件・計算方法などを定める必要があり(労働基準法89条)、規程に定めた退職金は賃金として支払義務が生じます。

本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。退職金の有無・金額は会社の規程により、税制は改正されることがあります。退職金の税金の試算や個別のご相談は税理士・税務署へ、退職金規程の整備など会社側のご相談は 酌井社労士事務所 へどうぞ。