退職を決めたら、最後に出すのが「退職届(退職願)」です。書くこと自体はシンプルですが、理由の書き方や退職届と退職願の違い、出すタイミングでつまずきがち。順番に整理します。入力するだけで作れる無料ツールも用意しています。
退職届に書く内容と例文
退職届に必要な要素は、次のとおりです。むずかしい言い回しは不要です。
- 表題……「退職届」(または「退職願」)
- 書き出し……「私儀(わたくしぎ)」または「私事(わたくしごと)」
- 退職理由……自己都合なら「一身上の都合により」
- 退職日……「来る令和○年○月○日をもって」(在籍の最終日)
- 文末……退職届は「退職いたします」/退職願は「退職いたしたく、お願い申し上げます」
- 提出日・所属・氏名(押印)と、宛名(会社名・代表者名 殿)
【例文】
私儀
このたび一身上の都合により、来る令和○年○月○日をもって退職いたします。
退職願にする場合は、文末を「退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」に変えます。
退職理由は「一身上の都合」でいい?
自分の意思で辞める(自己都合)場合は、「一身上の都合により」と書けば十分です。転職・結婚・引っ越しなどの具体的な事情を会社に書いて伝える義務はありません。結婚・出産など、あえて理由を添えたいときだけ「結婚のため」などと書けばOKです。
ここが重要:倒産・解雇・退職勧奨など会社都合で辞めるのに「一身上の都合」と書くと、自己都合退職として扱われ、失業保険(基本手当)の受給開始の時期や給付日数で不利になることがあります。会社都合に当たりそうなときは、安易に「一身上の都合」と書かないでください。離職理由の考え方は 離職票とは、もらえる金額は 失業保険 計算ツール で確認できます。
退職届・退職願・辞表の違い
| 書類 | 意味・使う場面 | 撤回 |
|---|---|---|
| 退職願 | 「退職させてください」とお願いする | 受理前なら撤回の余地あり |
| 退職届 | 「退職します」と確定的に届け出る | 原則できない |
| 辞表 | 社長・役員や公務員が出すもの | —(一般従業員は使わない) |
一般的には、まず退職願で意思を伝えて会社と合意し、その後に退職届を出す流れですが、最初から退職届を出してもかまいません。「もう気持ちは固まっている」なら退職届、「相談ベースで切り出したい」なら退職願が目安です。
いつ・誰に出す?(タイミングと渡し方)
就業規則に「退職は○か月前までに申し出る」などの定めがあれば、まずそれに沿って早めに直属の上司へ伝えるのが円満です。法律上は、期間の定めのない雇用(正社員など)は、退職の申し入れから2週間で雇用が終了するとされています(民法627条)。
- 渡し方……直属の上司に手渡しが基本。受け取ってもらえない・郵送する場合は、控え(コピー)を保管し、記録が残る方法を使うと安心です。
- 封筒……三つ折りにして白い封筒へ。表に「退職届」、裏に所属・氏名を書きます。
退職日から逆算すると、動き出しの目安は次のとおりです。
| 時期(退職日から逆算) | やること |
|---|---|
| 1〜2か月前 | 就業規則の定めを確認し、直属の上司に退職の意思を伝える(退職願) |
| 2週間前 | 法律上の最低ライン(期間の定めのない雇用・民法627条)。ここより遅いと退職日に間に合わない |
| 退職日まで | 引き継ぎ・有給休暇の消化・貸与品の返却・退職届の提出 |
退職時に会社がする手続きは 退職手続きガイド、会社側がやることは 退職手続きで会社がやること をご覧ください。有給休暇が残っているときは、退職前に消化できるか相談しましょう(有給休暇の付与日数)。
縦書き・横書きどちらでもいい?
退職届は縦書きが伝統的ですが、横書きでも問題ありません。手書き・パソコン作成のどちらでも有効です。フォーマットに迷ったら、次の無料ツールで縦書き/横書きを選んでそのまま作成→PDF保存できます。
実務でよくあるつまずき
- 契約社員・パートなのに「2週間で辞められる」と思い込む。申し入れから2週間で退職できるのは、期間の定めのない雇用(正社員など)の話です。契約期間の定めがある場合、期間の途中で一方的に退職するには、原則としてやむを得ない事由が必要です(民法628条)。まず契約期間の満了日を確認してください。
- 退職日を書かずに出してしまう。「追って相談」のまま提出すると、いつ雇用が終わるのかで会社ともめる原因になります。退職日を確定させ、日付を明記してから出しましょう。
- 有給休暇を考えずに退職日を決めてしまう。退職日を先に固めてしまうと、あとから動かせず残った有給を消化しきれないことがあります。残日数(有給休暇の付与日数で確認できます)と引き継ぎ期間を見てから退職日を決めるのがおすすめです。
根拠・出典
- 退職の申し入れから2週間の経過で雇用が終了(期間の定めのない雇用):民法 第627条第1項。
- 有期労働契約の期間途中の解除には、やむを得ない事由が必要:民法 第628条。
- 退職に関する事項は就業規則の必要記載事項:労働基準法 第89条。
- 就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」などの定めがあっても、期間の定めのない雇用では、民法627条により申し入れから2週間の経過で退職できると解されるのが一般的です。ただし、円満退職のためには就業規則に沿った早めの申し出をおすすめします。
よくある質問
退職届の退職理由は「一身上の都合」でいいですか?
自己都合で辞める場合は、具体的な理由を書かずに「一身上の都合により」と書くのが一般的です。例文は「私儀、このたび一身上の都合により、来る令和○年○月○日をもって退職いたします。」です。
退職届と退職願はどう違いますか?
退職願は「退職させてください」とお願いする書類で、受理前なら撤回の余地があります。退職届は「退職します」と確定的に届け出る書類で、原則撤回できません。辞表は役員・公務員が使うものです。
退職届はいつまでに出せばいいですか?
まず就業規則の定めを確認します。法律上は、期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で雇用が終了します(民法627条)。円満のため、就業規則に沿って早めに直属の上司へ伝えるのがおすすめです。
退職届は手書きでないとダメですか?パソコンで作ってもいいですか?
パソコンで作成しても有効です。手書き・パソコン、縦書き・横書きのどれでも法的な効力は変わりません。会社指定の様式がある場合はそれに従ってください。
一度出した退職届は撤回できますか?
退職届は原則として撤回できません。退職願であれば、会社側(人事権のある人)が承諾する前なら撤回できる余地があります。退職日や気持ちがまだ固まっていない段階では、退職願にとどめておくのが安全です。
本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月12日 加筆)一般的な情報提供であり、個別事案への適合性を保証するものではありません。退職をめぐる個別のトラブル(有給消化・未払い残業代・離職理由など)は、酌井社労士事務所 へお気軽にご相談ください。