家族を健康保険の扶養(被扶養者)に入れると、その家族は保険料の負担なしで健康保険に加入でき、被扶養者が何人いても被保険者本人の保険料は変わりません。ただし誰でも入れるわけではなく、①続柄 ②収入 ③生計維持の3条件を満たす必要があります。条件の中身・手続き・見落としやすい注意点を順に解説します。
① 続柄の条件(同居が必要かどうかで2グループ)
被扶養者になれるのは、原則として被保険者の3親等内の親族です。続柄によって同居の要否が変わります。
| グループ | 対象 |
|---|---|
| 同居していなくてもよい | 配偶者(事実婚を含む)/子・孫/兄弟姉妹/父母・祖父母などの直系尊属 |
| 同居(同一世帯)が必要 | 上記以外の3親等内の親族(義父母・おじおば・甥姪など)/内縁配偶者の父母・子 |
配偶者の父母(義父母)は「同居が必要」のグループです。別居の義父母への仕送りだけでは扶養に入れられません。
② 収入の条件(130万円・150万円・180万円)
| 区分 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 原則 | 130万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く・学生年代) | 150万円未満(2025年の見直し) |
| 60歳以上・一定の障害がある人 | 180万円未満 |
「収入」の数え方に注意してください。給与(通勤手当・賞与込み)のほか、年金・失業給付・傷病手当金・家賃収入など継続性のある収入を含みます。退職金のような一時的な収入は通常含みません。判定は過去の実績ではなく今後1年間の見込みで行い、月額に直すと108,334円未満(130万円の場合)が目安です。
③ 生計維持の条件
| 同居・別居 | 基準 |
|---|---|
| 同居 | 対象者の年収が被保険者の年収の半分未満(半分以上でも、被保険者が生計の中心なら認められる場合あり) |
| 別居 | 被保険者からの仕送り額が対象者の年収より多いこと(手渡しではなく振込記録を残す) |
手続き|5日以内・会社経由
扶養に入れる事実(結婚・出産・退職など)が発生したら、5日以内に勤務先へ「被扶養者(異動)届」を提出します(会社が年金事務所・健保組合へ提出)。主な添付書類は次のとおりです。
- 続柄の確認:戸籍謄本・住民票など(マイナンバーの記載で省略できる場合あり)
- 収入の確認:課税(非課税)証明書、雇用契約書、年金額の通知書、離職票・雇用保険の受給資格情報など
- 別居の場合:仕送りの振込記録
見落としやすい注意点
- 本人が勤務先の社会保険の加入要件を満たすと、扶養には入れません。週20時間以上・51人以上などの要件(106万円の壁)に該当すれば、収入が130万円未満でも本人加入が優先です(→ パートの社会保険加入)。
- 失業給付の受給中は外れることが多い。基本手当の日額が3,612円以上だと収入基準を超える扱いになり、受給期間中は扶養から外れるのが一般的です。
- 「外れるとき」の届出忘れが最大の事故。就職・収入増で資格を失ったのに保険証を使い続けると、あとから医療費(保険負担分)の返還を求められます。要件を外れたら速やかに届け出てください。
- 一時的な収入超過には救済策。残業増などで一時的に130万円を超えた場合は、事業主の証明で扶養を継続できる特例があります(連続2回まで)。
- 最終判断は保険者ごと。健保組合によって細かい運用が異なります。迷ったら加入先に確認してください。
被扶養者になると(ならないと)どうなる?
被扶養者は保険料ゼロで、医療費の3割負担・出産育児一時金・高額療養費などの給付を受けられます。配偶者が被扶養者になる場合は、あわせて国民年金の第3号被保険者(保険料ゼロで年金加入)になれます。逆に扶養に入れなければ、国民健康保険+国民年金で年20万〜30万円程度の負担が発生します。世帯の手取りへの影響は 年収の壁シミュレーター で確認できます。
自分のケースをすぐ判定
続柄・年齢・年収などの質問に答えるだけで、扶養に入れるかをその場で判定できます。130万円を超えた場合の事業主証明書もそのまま作成できます。
根拠・出典
- 被扶養者の範囲(3親等内の親族):健康保険法 第3条第7項。
- 収入基準(130万円/150万円/180万円・今後1年の見込み):日本年金機構・協会けんぽの被扶養者認定基準。
- 被扶養者(異動)届(5日以内):健康保険法施行規則。
- 一時的な収入増の事業主証明:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」。
よくある質問
健康保険の扶養に入る条件は何ですか?
①続柄(原則3親等内の親族)②収入(原則130万円未満)③生計維持(同居なら年収が被保険者の半分未満、別居なら仕送りが本人年収より多い)の3条件を満たす必要があります。
扶養に入れる年間収入の基準はいくらですか?
原則130万円未満、19歳以上23歳未満の学生年代(配偶者を除く)は150万円未満、60歳以上・一定の障害がある人は180万円未満です。今後1年の見込みで判定します。
扶養の収入には給与以外も含まれますか?
含まれます。給与(通勤手当・賞与込み)のほか、年金・失業給付・傷病手当金・家賃収入など継続性のある収入を含みます。退職金など一時的な収入は通常含みません。
別居の親を扶養に入れられますか?
父母・祖父母は別居でも対象になり得ますが、仕送り額が親の年収より多いことが必要です。振込記録を残してください。なお配偶者の父母(義父母)は同居が条件です。
扶養から外れたのに保険証を使ってしまったら?
資格喪失後に使った医療費(保険負担分)は、あとから返還を求められます。就職や収入増で要件を外れたら、速やかに会社へ届け出てください。
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本記事は2026年7月時点の情報をもとにした(2026年7月11日 大幅加筆)一般的な情報提供であり、個別の事案への適合性を保証するものではありません。法令・制度は改正されることがあります。社会保険の扶養の最終的な認定は、加入している健康保険組合・協会けんぽが行います。具体的なご対応は、酌井社労士事務所までお気軽にご相談ください。