最低賃金のチェック方法|月給はどうやって比較する?
最低賃金は時間額(時給)で定められているため、月給や日給の人は時給に換算して比較します。換算式は次のとおりです。
月給制:月給 ÷ 月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
日給制:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
月平均所定労働時間は「(365日 − 年間休日日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月」で求めます。年間休日が少ない会社ほど分母が大きくなり、同じ月給でも時給換算額は低くなります。
最低賃金の対象にならない賃金(除外して計算)
比較に使う「月給」は、支給総額ではありません。次の賃金は除外して計算します。
- 精皆勤手当・通勤手当・家族手当
- 時間外・休日・深夜の割増賃金(残業代)
- 賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
つまり、比較できるのは基本給+職務手当・役職手当など、毎月決まって支払われる賃金だけです。「手当込みなら最低賃金を超えているから大丈夫」という判断は誤りになることがあります。
計算例:月給18万円は最低賃金割れ?(三重県)
三重県(最低賃金1,087円)で、基本給等18万円・1日8時間・年間休日115日のケースです。
| 月平均所定労働時間 | (365−115)×8÷12 ≒ 166.6時間 |
|---|---|
| 時給換算額 | 180,000円 ÷ 166.6時間 ≒ 1,080.4円 |
| 三重県の最低賃金 | 1,087円 |
| 判定 | 約6.6円/時 不足(最低賃金割れ) |
月給18万円でも、時給に換算すると最低賃金を下回るケースです。令和7年度は全国平均で66円という過去最大級の引き上げがあったため、これまで問題なかった月給額が知らないうちに最低賃金割れになっている例が増えています。
最低賃金でよくある誤解・注意点
- 「手当込みで超えていればOK」は誤りです。通勤手当・家族手当・精皆勤手当などを除いた額で比較します。
- 改定は毎年10月頃、発効日は都道府県ごとに違います。令和7年度は10月〜翌3月にかけて順次発効しました。昇給時期が年1回(4月など)の会社は、10月の改定で割れないか毎年確認が必要です。
- 下回った契約は自動的に最低賃金額に引き上げられます。最低賃金未満の合意はその部分が無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされ、差額の支払い義務が残ります。
- 特定(産業別)最低賃金がある業種は、そちらが優先されることがあります。金属製品製造業など一部の産業では、地域別より高い産業別最低賃金が定められています。
- 派遣社員は「派遣先」の都道府県の最低賃金が適用されます。雇い主(派遣元)の所在地ではない点に注意してください。
計算の根拠・出典
- 地域別最低賃金額・発効日:厚生労働省「令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧」(全国加重平均1,121円)。
- 月給・日給の時給換算方法、対象から除外される賃金:最低賃金法・同法施行規則。
- 最低賃金未満の契約の効力・罰則:最低賃金法第4条・第40条。
関連する無料ツール・コラム
よくある質問
月給制の最低賃金はどうやって計算しますか?
月給を「月平均所定労働時間」で割って時給に換算し、都道府県の最低賃金と比較します。月平均所定労働時間は「(365日 − 年間休日日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月」で計算します。このとき、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・時間外手当・賞与などは月給から除いて計算する点に注意が必要です。
最低賃金の計算に含まれない手当はありますか?
あります。精皆勤手当・通勤手当・家族手当、時間外や休日・深夜の割増賃金、賞与など臨時に支払われる賃金は、最低賃金の比較対象から除外されます。基本給と職務手当などを合計した額で比較するのが基本です。
最低賃金はいつ改定されますか?
毎年、夏に各都道府県の審議会で改定額が決まり、おおむね10月から順次発効します。発効日は都道府県ごとに異なり、年をまたぐ場合もあります。このツールは令和7年度の改定額(全都道府県発効済み)を内蔵しています。
最低賃金を下回っていたらどうなりますか?
最低賃金額を下回る賃金で契約しても、その部分は法律上無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます。差額の支払い義務が生じるほか、地域別最低賃金を下回った場合は罰則(50万円以下の罰金)の対象にもなります。気づいた時点で早めに賃金を見直すことが大切です。
派遣社員にはどこの最低賃金が適用されますか?
派遣元(雇い主)の所在地ではなく、実際に働いている派遣先の事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。在宅勤務(テレワーク)の場合は、所属する事業場のある都道府県の最低賃金が適用されるのが原則です。